はじめに
「GODJ Plus」の直接的な後継にあたるミューシグナル社発「FJ1」のクラウドファンディングが開始されました!
追記:2024/01/30 17:59 まで
https://www.makuake.com/project/fj1/
私は前回の「GODJ Plus」をクラウドファンディングで入手して以来7年くらいにわたって使いまくっており、その経験から今回の『FJ1』のクラウドファンディングも「この金額なら」と確信のうえで申し込みしたのですが、
なんせ GODJ Plus が7年前(!)なため使い勝手を知らない人もいるだろうと思い、また、利用していたシーンとか使っていた機能とかにあまり触れていなかったので、私の経験ベースで GODJ Plus をどう使っていたかをつらつら列挙していこうと思います。7年ごしのレビュー!
なお、JDSound 倒産に伴い各種ファームウェアやマニュアル、OVO の設定ページを一時的に二次配布していた経緯がありますが、私は FJ1 についてミューシグナル様から何か話を聞いたりしていないので単なる1ユーザーとして記載するものですから、そこのところもヨロシクどうぞです。
つまり #PR じゃないってことです。
今の私の DJ スタイルと、GODJ Plus の利用シーン
今の私のスタイル
元々は PCDJ(Djay → rekordbox dj + DDJ-RB)→荷物が億劫になって全部 GODJ Plus でやっておりましたが、最近は日本語対応の CDJ を使わせて頂ける機会が増えたので USB メモリでのプレイに9割移行しています。
ほぼ全部 mp3 でプレイしています。
私の GODJ Plus の利用シーン
GODJ Plus はサブ機材と定めていて使用する機会は減ってはいるのですが、まだまだ手放せません。
特にDJ 設備が充実していない現場でそれなりのパフォーマンスをしたい場合は、最大の特徴とも言える携帯性を生かすことが出来て、めっぽう強いです。
例えばスペックやスペースが限られるような以下のような現場。
・2〜5時間程度の長時間の DJ で PC が持ち込みづらい現場の場合
・CDJ-350 などの日本語が出ないエントリー機材、アナログオンリーの現場の場合
・小規模なバーや居酒屋、ライブハウス、即売会などのイベント会場で DJ する場合
A4 サイズと非常にコンパクトなので相性が非常に良いです。
↑ワンオペで5時間 VJ/DJ したときの図。
この携帯性ゆえにゲームセンターのイベントスペースで飛び入り DJ させて頂いたこともあります。(DJ する3時間くらい前に呼ばれた)
現在は GODJ Plus を使う頻度は2〜3ヶ月に1回ほどです。
ちなみに趣味で合奏をしているのですが、スタジオで演奏する場合の伴奏を流すマシンとしても使っています。これがまた便利。
私じゃない GODJ Plus 利用シーン
東京ゲームショー 2020/2021 での SEGA のスペシャル LIVE で使われているのを見ました。
多分コレが GODJ Plus が使われている、もっとも大きな舞台の一つじゃないかな。
公式で DJ KOO さんを呼んでイベントされていました。
(良く DJ KOO の話題が出てくるなこのブログは。)
GODJ Plus の機能(抜粋)
まず前提として、(私がやる程度のプレイであれば)フツーに DJ ができます。
#更なる前提として私のスキルにおいては CDJ より GODJ Plus の方が高度なプレイができると思っています。
#いまはある程度 CDJ でもやりたいプレイが出来るようになったので、荷物量の面で積極的に CDJ を使っています。
キャパ 70〜150の箱でも GODJ Plus でプレイしたこともあります。
何ができるのかは マニュアル を読んで頂くのが良いと思うのですが、
個人的に気に入っている機能や仕様を抜粋しながら紹介します。
特に気に入っている機能たち
DJ 機材は直感的でナンボだと思っていますが、GODJ Plus は物理ボタン・ノブに加えてタッチパネル採用なこともありかなり直感的な操作が行えます。
(あまりに直感的に使えるので、こうやって文章にすると伝わらないんだろうなぁと思いながら)
内蔵スピーカー
A4 サイズというポータビリティよりも GODJ Plus の特筆としてあげたい内蔵スピーカー。
GODJ Plus にはバケモノみたいなフルデジタルスピーカーが搭載されていて、私が “実演” 販売したときには大体このスピーカーの凄さに驚いて購入を決心した人も多いのではないでしょうか。
(関西で7人くらい購入なさったと認識している)
居酒屋とかだと余裕で怒られそうなくらいの音量がでるので、あまりに凄くてGODJ Plus からスピーカー部分だけ切り出した OVO だとかが発売されたり、
その音量ゆえ振動でヴヴヴって物理的に動いてしまう OVO を改善するためなのか高級天然木筐体に足を踏み入れた LOG だとかのプロダクトもついついクラファンで買ってしまったのですが、フルデジタルスピーカーを作るための部品が終売 となったためなのか、FJ1 ではついに別のスピーカーが搭載されるようで・・・
いや、もっとヤバくなるんかい!
HOTCUE、サンプラー&シーケンサ、ループ機能
パッドを使用して DDJ-RB みたいに HOTCUE を直感的に直接操作できます。通常4つ、拡張ライセンスによって最大12個まで設定することができました。
HOTCUE ですから再生中に押すと途切れずにその地点から再生されますが、停止中は CDJ でいう通常 CUE の挙動に近く、HOTCUE を押し続けている間は再生されて、離すと CUE ポイントに戻って停止します。
#rekordbox 用語で『GATE 再生』というらしい。
#余談だが、CDJ 2000NXS2 でこの設定をしたいがやり方がわからないので教えて欲しい
曲の中で大きくジャンプさせる(2番を飛ばすとか)ような場合はバッファの関係か、一瞬だけ引っ掛かりを感じたので、左デッキから右デッキに繋ぐようにしていました。
このあたり FJ1 で改善されると良いですね。慣れると2枚づかいでのビートジャグリング的なことも容易に出来るようになるのですが。
なので、HOT CUE を設定しまくって、1曲の中でジャンプしまくるような DJ プレイスタイルだと、GODJ Plus はちょっと向かないかも知れません。
サンプラー&シーケンサは私の DJ プレイではあまり使いませんでしたが発音時に PAD が色とりどりに光るので、
消音状態でシーケンサを実行することで BPM sync した明滅イルミネーションとして観客に向かって掲げるパフォーマンスをしたこともあります。
GODJ Plus を初めて起動して最初に驚かされるのは、PAD に埋め込まれたフルカラー LED のなめらかなグラデーション発光でしょう。これをパフォーマンスに使っちゃいました。
プレイ中に持ち上げられるのも A4 サイズならではですね。(危険はあるのでやらないほうが良いと思う。)
サンプラーは楽器で合奏する時にドラムを指で鳴らしたりしましたね。
ドラムンベース的に DJ プレイに組み込めるのかも?
ループ
ループ機能は PAD に関連するものだと押している間だけのループ。PAD を離すと、実際に経過した時点から再生される SLIP 再生があります。特に後者は三連符ループという他の DJ ソフトではあまり見かけないループのさせ方で気に入っています。
PAD に関係しないところだと特定小節でのループや、CUE 間のループを設定できます。
CUE 間というのは CUE1〜CUE2、あるいは CUE3〜CUE4 の間のループをそれぞれ設定することができます。これらのループは自動的に起動され、rekordbox/CDJ でいうところの『ACTIVE LOOP』機能相当の挙動になります。
また、タッチパネルを使ってエフェクトをかけるようにピッチを上下してループさせられる「モーションループ」機能があります。これ実際に使うとめちゃめちゃ面白くてウケる割にはあまり知られていない機能だと思うので、広まると良いですね。
ピッチ/BPM 関連機能
ピッチベンド専用ボタン(ちょっとだけ遅く/早く再生する)がついているので、曲再生時に少しズレた時の対応がスムーズに行えます。
あと、BPM 表示部をなぞると自然な感じに BPM をオリジナルに近づけていく神機能があるので、再生中に BPM を自動的に徐々に変更してもらってる間に他の仕込みができます。
一方で、BPM をオリジナルから大きく変動させる場合。±9%くらいになると、PC/rekordbox にくらべると歪みが気になってきます。
いや、そもそも10%も BPM 変えたら違う曲になるのは当たり前なのですが、私の VGMDJ では稀にやるのでこの場合は PC 使って事前にそれ用の remix トラックを作っておくのをオススメします。
マシンパワーな気がするので、このへんも FJ-1 で改善されると嬉しい。
BPM の解析はマシン単体で行いますが、それなりに精度は高い印象。
物理フェーダー/ノブ
LOW/MID/HIGH/GAIN/FX を直感的にコントロールできます。最高。
私個人としてはあまり気にしていなかったのですが、横並びになっているのが好きでない人が多かったようで、FJ-1では待望の縦並びになりました。
あと FX を使ったときの KILL(無効化)モードがあるのが地味に助かりました。
GAIN については曲単位でゲイン値を SAVE / LOAD する機能を持っているので何気にすごい。
LINE IN機能と録音機能
3.5mm のミニジャックのステレオ入力を装備していて、それをデッキに接続して鳴らすことができます。(デッキに繋がずにマスタにも流せます)
デッキに繋げばなんと BPM も取れるので、スマホで DJ アプリ立ち上げて即席 3〜4ch プレイしちゃうとか、スマホで DJ する人の接続転換に使えちゃったりとか、使い方はいくらでも広がりますね。
演奏時の伴奏流すのにも活躍しました。
録音も専用の領域に取れるようになっていて、合計で2時間くらい録れたはず。
リセット孔
私の記憶している限りプレイ中にハングアップや重大な停止をしたことはないのですが、長時間放置した場合などに応答に時間がかかる時がありました。
このような場合は強制リセットを細いピンで突いてあげるとハードウェアのリセットが掛かって正常に起動してきます。何かあった時に備えてリセット専用に分かりやすい機構があるのは非常に安心できます。
(別に電源長押でリセットかかるならいいけども)
オート DJ
イベントが始まる前とかで時間あるときとかに任せることが出来ます。
流石に偶然だと思うけど、すげーはらたつ。
プロジェクトの実現性と FJ1 への期待
プロジェクトの実現性
購入ではなくクラウドファンディングなのでそれなりにリスクはあると思いますが、個人的には大丈夫なのではないかと思っています。(なので参加したわけですが。)
過去実績
JDsound とミューシグナルでのプロダクト:GODJ Plus、OVO、LOG
他社プロダクトの製造:KJE-ONE(第二次の量産から)、インスタコード
・・・とクラウドファンディング関連のハードウェア製造経験は豊富。
インスタコード は私も持ってます。
一方で、実績で言うと多少(数ヶ月)の遅れはありえるかなと思います。
追記:スケジュールよりは品質を取る傾向にあるように見えます。
プロダクト | クラファン締切 | 支援者への配送予定 | 実際の配送開始 | 実績 |
GODJ Plus | 2016/05 | 2016/10 | 2017/03 | 5ヶ月遅れ |
OVO | 2018/05 | 2018/06 | 2018/10 | 4ヶ月遅れ |
LOG | 2022/11 | 2023/02 | 2023/02 | オンスケ |
従って、今回の FJ-1 到着予定の 2024/08 に FJ1 を使ったパフォーマンスを予定している人はリスクが高いと思います。(だから、クラウドファンディングだっつってんだろ)
私は良いモノが届けば OK なので待つ可能性があるのは承知しています。
電池交換を済ませた GODJ Plus あるしな。
保守サポート
私の GODJ Plus は アタリ の子だったのか、バッテリー交換を除いて2回ほど修理に出していますがそれぞれ速やかに対応していただいています。
私が観測しただけで 19回のファームウェアのアップデート と頻繁に実施されていたのと、
JDSound 乗っ取りなどで不安定な時期はあったものの、事実としてミューシグナル社で GODJ Plus の修理サポートを再開されているので、そのあたりから信用に足ると考えています。
追記:OVO の修理サポートも再開されました。
FJ1 への期待
こうなったら嬉しいなぁレベルでしか無いんですが、
追記:立ち上がりが早くなると嬉しいな
電源投入後、プレイリストの曲の整合性が取れるまで5分くらい掛かるので、早くなると嬉しい。
(「曲が見つかりません」と表示されて5分くらいしたら徐々に表示されていく)
マシンパワーの問題と思うので、FJ1 では早くなると思うけど。
プレイリスト機能が拡充されると嬉しいな
GODJ Plus でセットリストを組む場合は PC の rekordbox で作成して書き出しているので、非公式であっても何らかの形で連携できると嬉しいです。(CUE 設定とセットリスト登録を頑張る必要があるため)
追記:代表が PioneerDJ 訪問したり、rekordbox に関する 匂わせツイートしていたので、これは対応されるんじゃないかなぁと睨んでいます。しらんけど。
・・・でもなんでそうしてたかと考えると、GODJ Plus では楽曲+フォルダのオブジェクト数の上限が 9900 くらいだったことによって、どんどん消さなければいけない制約があったためです。
FJ-1 では念願の楽曲数無制限を謳っているので、いわば PCDJ を持ち出すような使い方になって、わざわざ使う曲だけを書き出す必要がなくなるのかもしれない。
(よって私の中の重要度が下がったことに今気づいた)
あとは rekordbox でいうインテリジェントプレイリスト機能みたいなのがあると嬉しいかも。
よく使う(=再生回数が多い)曲をピックアップして BPM 順に並び替えることで、フリーセットでのプレイが格段に楽になりますので、これが出来たら大変うれしい。
ハードウェア
今まで述べてきた嬉しい機能群は踏襲されるっぽいので一安心です。
しかしスペック表を見比べると「ハードウェア強化が25倍!」よりも、むしろ「よくこのプロセッサで GODJ Plus のあの機能をやってたな」というフェームウェア開発力の高さに驚かされます。
58MHz って。
あのニンテンドー DS でも『67MHz(ARM9)と33MHz(ARM7)』だからそれ未満です。
対応フォーマットも格段に広がるなど凄そうですが、SD card から USB に変わるに当たってどのくらいはみ出すんだろう・・・というのが私の当面の心配事ですネ。
あと、ピッチ(再生位置)調整をよく使うので曲投入後にすぐにアクセスできると嬉しい。。
(独立ボタンじゃなくなるっぽいので)
終わりに
プロジェクトの成立と、スムーズな開発。
なによりミューシグナルご関係者様の健康をお祈りしております。
早くほしい!